山羊の起源

 家畜山羊の祖先種は西アジアの山岳地帯に現存する野生のベゾアール山羊であり,10,000〜12,000年前に家畜化されたと推定されています。
 野澤・西田(1981)によれば、その後,家畜化されたベゾアール山羊は遊牧民によって東西へ広められました。東へ向かった集団はマルコール山羊(螺旋状に捻れた角を持つ山羊)との交雑を受け,中央アジア,インド,モンゴルあるいは中国の在来種の基礎となりました。
 一方,西へ向かった集団はアフリカ大陸,アラビア半島あるいはヨーロッパ大陸の在来種の基礎となりましたが,アフリカ大陸へ向かったものは途中アイベックス山羊(弓状で一定間隔の結節がある角を持つ山羊)との交雑を受けたと考えられています。
 また,東アジアへ伝播した山羊はカンビン・カチャンと呼ばれ,毛色によって2系統に大別されます。1つは黒色の大陸型山羊で,中国大陸南部,インドシナ半島北部,インド東部,韓国および台湾西部などに分布しており,もう1つは褐色の島嶼型山羊で,東南アジアの島嶼地域,台湾東部および日本の南西諸島・五島列島などに分布しています。台湾にはこの2系統が生息していることから,台湾が2系統の交叉地点であると前出の野澤・西田(1981)は指摘しています。
 また、加納(1993)によれば、現在の家畜山羊は形態的にベゾアール型(ヨーロッパの乳用種,アフリカおよび東南アジアの小型肉用種),サバンナ型(インドおよび西アジア乾燥地帯の毛用種)およびジャムナパリ型(インドのジャムナパリ,アフリカのヌビアンなど鼻面が凸隆していて、耳が長く垂れている山羊)の3つに大別されています。