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現在、山羊の品種は約216種とされており、用途別では乳用種、肉用種および毛用種に分けられるますが、地域によっては肉用種でありながら毛や皮などの副産物も利用され、肉・毛皮兼用種として位置づけられるものもあります。アジアの中で品種の数が多い国は、中国43種、パキスタン25種、インド20種、インドネシア10種およびネパール7種です。以下、用途別に主な品種の特徴について紹介します。
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乳用種
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[1] ザーネン(Saanen)
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スイス西部のザーネン谷原産で、ヨーロッパ、北アメリカなど世界各地で飼養されています。最もポピュラーな品種であり、山羊の白いイメージはここから来ています。被毛は白色であり、無角が遺伝的に優性ですが、有角のものも見られます。肉髯(「にくぜん」と読み、左右の顎に垂れ下がっている肉の塊のことを指しますが、機能はまだよく分かっていません)を持つものや欠いているものがいますが、持っている方が遺伝的に優性です。体重は♂で70〜90kg、♀で50〜60kgですが、♂ではまれに100kg以上の大型のものもいます。泌乳期間は270日〜350日(まれに1年以上)で、乳量は500〜1000kgです。
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[2] トッゲンブルグ(Toggenburg)
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スイス東部のトッケンブルグ谷原産で、ヨーロッパ,北アメリカなど世界各地で飼養されています。被毛は全体的に暗褐色ですが、鼻梁、耳の周囲、四肢および尾端に白斑が見られます。有角または無角で、肉髯を持つものや欠いているものがいます。体格はザーネン種よりもやや小さく、泌乳能力もやや劣ります。乳量は600〜800kgです。
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[3] アルパイン(Alpine)
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スイス、フランスのアルプス地方原産で、ヨーロッパ、北アメリカなど世界各地で飼養されています。ブリティッシュおよびフレンチ・アルパインが代表的ですが、近年、アメリカン・アルパインが作出され、1996年にわが国(宮崎県)へも導入されています。被毛は褐色、淡褐色、黒色、灰色あるいは白色を基調として刺毛や黒色の背線を持つものなど多様で、有角または無角です。フレンチ・アルパインには肉髯を持つものがいます。乳量は300〜600kgとザーネンの約3分の2ですが、アメリカン・アルパインの乳器は改良により左右均称で斉一化されています。
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[4] ヌビアン(Nubian)
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アフリカ東部ヌビア地方原産で、アフリカ、ヨーロッパなどで飼養されています。ヌビアンにはアングロ・ヌビアンとスーダン・ヌビアンがいますが、通常ヌビアンというのは前者のことを指します。毛色は黒、褐あるいは黄褐を基調としてそれぞれの斑紋など多様です。無角で長い垂れ耳を持ち、鼻面が凸隆しています。乳量は600〜800kgと前3者と比べ少ないものの、乳脂率は4〜5%と高いのが特徴です。また、周年繁殖化することにより泌乳期間の延長が可能となります。国によっては乳・肉・皮兼用種として位置づけられているところもあります。
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[5] ジャムナパリ(Jamnapari)
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インド原産で、インド、東南アジアなどで飼養されています。毛色は黒、白、黄褐あるいはそれぞれのまだらなど多様です。有角で長い垂れ耳を持ち、ヌビアンと同様に鼻面が凸隆しています。乳量はヨーロッパ種と比べ少なく、250〜400kgです。また、国によっては肉用種としても利用されています。
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[6] 日本ザーネン(Japanese Saanen)
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ヨーロッパから輸入したザーネンと日本在来種との交配により1949年に作出されました。被毛は白色であり、無角で肉髯を持つのが一般的ですが、有角で肉髯を持たないものも見られます。乳量は300〜500kgとザーネンに比べ少ないですが、改良により中にはザーネンと遜色ないものもあります。ただし、腰麻痺(正式には脳脊髄糸状虫症と呼ばれ、蚊によって媒介される病気で起立不能となる)に罹り易いのが欠点です。
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[7] ラ・マンチャ(LaMancha)
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スペインのムルシア地方原産で、ザーネン、トッゲンブルグ、アルパインなどのスイス原産種とヌビアンとの交雑によりアメリカで作出された新しい品種です。性質が温順で、冬の寒さにも強く、環境適応力が優れています。有角または無角で、外耳が短くてほとんど無いのが特徴です。乳脂率がスイス原産種と比べて高いのもこの品種の特徴です。
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[8] オベルハスリ(Oberhasli)
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スイス西部原産で、毛色は赤褐色、黒色または赤褐色を基調に黒色の縞模様が顔面から頚部、背線、尾にかけて見られるものがあり、有角または無角、耳は直立しています。高山環境での放牧に適していますが、泌乳能力にばらつきがあります。
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肉用種
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[1] ボーア(Boer)
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南アフリカ原産であり、南アフリカ、中央アメリカなどで飼養されています。有角がほとんどで、鼻面は凸隆し、耳が長く垂れています。体重は90〜130kgで、平均日増体量も0.15〜0.17 kgと肉用山羊の中で最も発育が優れています。性成熟が早く、周年繁殖化することにより2年3産が可能である上、双子率も高いのが特徴です。
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[2] スパニッシュ(Spanish)
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スペイン原産で、中央アメリカで飼養されています。被毛は黒色または褐色で、有角と無角があります。体重は35〜50sとやや小柄で、脂肪の少ない赤身肉を生産するのが特徴です。国によっては乳肉兼用種として位置づけられています。
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[3] クレオール(Creole)
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スペイン原産で、中央および南アメリカで主に飼養されています。毛色は白、黒、褐の組み合わせがあり、多様です。鼻面は真直ぐで、耳はわずかに垂れ、有角です。体重は30〜45sと小柄です。パストレノはクレオール種の中で最大の山羊であり、伝統的な塩漬け干し肉を生産するためにメキシコ南部で放牧肥育されています。
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[4] カンビン・カチャン(Kambing Katjang)
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西アジアから東南アジアへ伝播したベゾアール型肉用山羊の1つで、タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン、台湾などで飼養されています。大陸型(黒色)と島嶼型(褐色)があり、被毛に白斑や黒い背線を持つものもあります。有角で肉髯はなく、体重は20〜40sと小柄です。腰麻痺に対する抵抗力を持ち、周年繁殖が可能です。
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[5] 韓国在来種黒山羊(Korean Native goat)
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前出のカンビン・カチャンから派生したと考えられており、韓国国内各地で飼養されています。毛色はほとんど黒一色(80%以上)ですが、暗褐色もあります。有角で肉髯はなく、体重は15〜20sです。腰麻痺抵抗性を持っています。
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[6] 日本在来種トカラ山羊(Tokara Native goat)
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カンビン・カチャンのうち、大陸型が中国大陸および朝鮮半島を南下したのか、あるいは島嶼型がフィリピン、台湾および沖縄を北上したのか明らかではありませんが、いずれにしろカンビン・カチャンを起源とすることには相違ありません。鹿児島県トカラ列島原産で、鹿児島大学、鹿児島市平川動物公園、農林水産省家畜改良センター長野牧場、九州大学などで飼養されていますが、1955年以降、日本ザーネンの導入により雑種化が進み、トカラ列島に現存する純粋種は極めて少ないのが現状です。体重は20〜35s、被毛は淡褐色、黒色を基調として白斑や黒い背線(鰻線)があり、有角で肉髯はありません。乳汁を分泌する副乳頭を持っているため、三つ子が生まれても同時哺乳が出来ます。周年繁殖が可能で、腰麻痺に対する抵抗力があるのが特徴です。
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[7] 日本在来種シバ山羊(Shiba Native goat)
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長崎県西海岸、五島列島原産で、農林水産省家畜改良センター長野牧場、農林水産省畜産試験場、東京大学などで飼養されています。来歴はトカラ山羊とほぼ同じですが、被毛は白色がほとんどであり、これは有色の個体を人為陶汰してきたためと考えられます。有角で肉髯はなく、副乳頭を持つものもあります。体重は30〜40kgとトカラ山羊よりもやや大きく、周年繁殖し、腰麻痺抵抗性を持っています。
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毛用種
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[1] アンゴラ(Angora)
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中央アジア原産で、トルコ、北アメリカ、南アフリカなどで飼養されています。被毛は白色で、捻れた角を持っています。産毛量はモヘアとして3〜5s/頭であり、国によっては毛肉兼用種として利用されています。
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[2] カシミア(Cashmere)
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中央アジア原産で、中国、トルコ、アフガニスタン、イラクなどで飼養されています。捻れた角を持ち、毛色は白、褐、黒と多様です。長毛の下に生えるカシミア(またはパッシュミナ)は羊毛やモヘアよりも繊細で、保温性に富みますが、産毛量は0.1〜0.5s/頭と極めて少ないため、高級綿毛として珍重されています。
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